Vol.8 僕がドイツでサッカー選手として成長するための「共通理解」と「自分ルールブック」
3月9日 日曜日に、ドイツ6部リーグ後期が開幕しました。
冬の中断期間は、後期シーズンに向けた個人的な課題を解決するための期間になりました。課題としては、慣れないFWでいかに得点に繋がる動きができるか、そして得点ができるか。という点でした。冬の中断期間に、個人分析をしていただいている方と相談して、裏抜けの目的、味方からボールを受けるタイミングなど、細部にわたって分析を行いました。
ドイツでは、男性の平均身長が約180cmを超える中で、176cmの僕がアタッカーとして戦うには工夫が必要です。(とはいえ、決して小さい方ではないはずなんだけどなぁ…笑)

僕の武器は明確で、スピードです。特に最初の10m-20mです。走る競技である陸上、アメフトやラグビー選手の実際のトレーニング方法や考え方をYouTubeで研究すると、最初の10m-20mは、走る技術よりもフィジカルが重要で、鍛えれば誰でも速く走れるようになる。という仮説を立てました。
そしてこの冬は、フィジカル強化に魂のフルベットでトレーニングを重ねました。

後期シーズンに向けた準備期間(プレシーズン)が始まり、冬の期間に行った毎日の30分ラン、スプリントトレーニング、フィジカルトレーニングの成果が少しずつ表現できるようになり始めました。
戦い方は、シンプルで試合中に180cmを超える大柄なドイツ人選手を背負う前に、スピードで抜き去りゴールを狙う。もし背負う必要がある状況になったとしても、すぐにボールを捌き、前を向いて受け直す。この時、YouTubeで興梠慎三さんが話していた「100%の力で裏に抜けつつ、気持ち40%の余裕を持って味方からのパスがズレても対応する」という言葉を意識しました。
その結果、プレシーズン全5試合で3ゴールを挙げることができました。


そして、後期リーグが開幕。
チームは去年のシーズンを13位で終えました。今シーズンは、後期開幕時点で4位と上位につけています。「絶対に負けない」「この異国の地で必ず成功する」という強い覚悟を持って、冬の期間もトレーニングに励んできました。しかし、結果は0-5で大敗。チームとしてありえないほどの惨敗で、個人的にも得点できず、シュートチャンスも逃し悔しい思いでいっぱいでした。
試合後、チームメイトに「うちのチームにはFWがいない」と面と向かって言われました。結果を出せず、何も言い返せなかった自分に情けなさを感じました。
#絶対に屈しない
その週の最初の練習でその選手と30分以上話し合いをしました。慣れないポジションでプレーしていることもあり、モヤモヤした気持ちを抱えたまま次の試合は迎えられません。でも、意外な言葉が返ってきました。「智哉のプレーは悪くないし、むしろチャンスを作っている。本来のポジションは違うけれど、クオリティの高いプレーはできている。でも得点しないとだけどね」と。
意外と冷静なんだなと思いましたが、彼との話し合いを通して、頭の中が整理されていきました。その時は、嫌味に聞こえる言葉でも、相手も相手で意外と考えて発言しているのだと改めて感じました。
母国語で話していないので、言葉の雰囲気やニュアンスも全てを理解できるわけではないけれど、やっぱり言語を習得することで問題解決にはお互いに前進しやすいなと思いました。
相手の気持ちを完全に理解することは難しいかもしれない。でも、相手との共通認識を持つことはできる。
共通認識さえ持てたらあとはできる努力をすることが最善!
話し合いでお互いを理解し、前進できます。これは、チームだけでなくて、個人にも落とし込めるなと思いました。自分自身との約束も、言ってしまえば共通認識。
共通認識は自分や自分と相手とのルールブックのようなもので、課題があるなら解決すると決めてトレーニングを重ねることで自分の武器が磨かれるし、仲間と話し合い理解を深めることで共通のルールが生まれるのかもしれません。
絶対に結果を出すという意味も込めて試合映像のハイライトを載せます。お時間ある際にドイツ6部リーグの雰囲気を楽しんで見てください。